せどりをやるのに古物商許可は必要?

副業でせどりを始める際に、古物商許可が必要なのか判断に悩むことがあるのではないでしょうか?

どういう場合に古物商許可が必要になるかは「古物営業法」で定められていますが、法律の条文というのは非常にわかりにくいものですし、細かい部分では警察署によって判断が分かれることもあります。

本当は許可が必要なのに、知らずに無許可で営業してしまっているというケースがあるかもしれません。

本記事ではこれからせどりを始めたい方に向けて、古物商許可が必要かどうか判断する基準について解説します。

古物商許可が必要になるかの判断基準

まず結論から言ってしまうと、古物商許可が必要になるのは次の2つのどちらにも当てはまる場合です。

・取り扱う商品が「古物」に該当する
・取引方法が「古物営業」に該当する

どちらにも当てはまらない、あるいはどちらか一方が当てはまらない場合は古物商許可は不要です。

ただ、これだけでは少し抽象的で判断ができないと思いますので、それぞれについて具体的に解説していきます。

「古物」に該当する商品とはどんなものか

古物の定義

古物営業法では「古物」を次のように定めています。

「一度使用された物品、若しくは使用されない物品で使用のために取引されたもの又はこれらの物品に幾分の手入れをしたものをいう。」

古物営業法第2条1項より抜粋

「一度使用された物品」「使用されない物品で使用のために取引されたもの」「これらの物品に幾分の手入れをしたもの」の3つのパターンがあるわけです。

「一度使用された物品」というのはいわゆる「中古品」です。これはわかりやすいですね。

次に「使用されない物品で使用のために取引されたもの」です。
これは少しわかりにくいですが、「使うつもりで買ったけど結局使わなかったもの」というイメージです。メルカリなどでよく見る「新品未使用品」というのがこれに該当します。新品でも「古物」に該当する場合があるという点に注意が必要です。

そして「これらの物品に幾分の手入れをしたもの」とは、中古品や新品未使用品を「本来の用途や性質を変化させないまま修理・補修したもの」のことです。
修理したパソコンや、補修をしたドレスなどがこれに該当します。
一方で、服をリメイクして作成したバッグなどは用途が変わっているのでこれに該当しません。

古物は13品目に分類されている

「古物」については、古物営業法施行規則第2条で13品目の分類がされています。
先に述べた古物の定義にあてはまり、かつ次に挙げる13品目に該当するのが「古物」ということになります。

古物13品目は次の通りです

美術品類

鑑賞して楽しむもので、美術的価値を有しているもの

(例)絵画、書、彫刻、工芸品、登録火縄銃・登録日本刀 など

衣類

繊維製品、革製品等で、主として身にまとうもの

(例)着物、洋服、その他の衣料品、敷物類、テーブル掛け、布団、帽子、旗 など

時計・宝飾品類

そのものの外見的な特徴について使用する者の嗜好によって選択され、身につけて使用される飾り物

自動車

自動車及びその物の本来的用法として自動車の一部として使用される物品(その部分品を含みます)

(例)タイヤ、バンパー、カーナビ、サイドミラー など

自動二輪車及び原動機付自転車

自動二輪車及び原動機付自転車並びに、その物の本来的用法として自動二輪車及び原動機付自転車の一部として使用される物品

(例)タイヤ、サイドミラー など

自転車類

自転車及びその物の本来的用法として自転車の一部として使用される物品

(例)空気入れ、かご、カバー など

写真機類

プリズム、レンズ、反射鏡等を組み合わせて作った写真機、顕微鏡、分光器等

(例)カメラ、レンズ、ビデオカメラ、望遠鏡、双眼鏡、光学機器 など

事務機器類

主として計算、記録、連絡等の能率を向上させるために使用される機械及び器具

(例)レジスター、タイプライター、パソコン、ワープロ、コピー機、ファックス、シュレッダー、計算機 など

機械工具類

電機によって駆動する機械及び器具並びに他の物品の生産、修理等のために使用される機械及び器具のうち、事務機器類に該当しないもの

(例)スマートフォン、タブレット、工作機械、土木機械、医療機器類、家庭電化製品、家庭用ゲーム機、電話機 など

道具類

上記及び下記に掲げる物品以外のもの

(例)家具、楽器、運動用具、CD、DVD、ゲームソフト、玩具類、トレーディングカード、日用雑貨 など

皮革・ゴム製品類

主として、皮革又はゴムから作られている物品

(例)鞄、バッグ、靴、毛皮類、化学製品(ビニール製、レザー製)など

書籍

金券類

(例)商品券、ビール券、乗車券、航空券、各種入場券、各種回数券、郵便切手、収入印紙、オレンジカード、テレホンカード、株主優待券

古物に該当しない物

ここまで古物とは何かについて解説してきましたが、ここでは反対に「古物に該当しないもの」について解説していきます。

古物商許可について定めている古物営業法の目的は、盗品の売買防止とその速やかな発見です。
そのため、盗難に遭う可能性が低いものや盗難されても簡単に見つけられるものなどは古物に該当しないことになっています。
具体的には20トン以上の船舶や航空機、大きな庭石などです。

他にも本来の使用用途や性質を変化させたもの、消費して無くなるもの、原材料など古物に該当しないものがあります。

具体例は次のようなものです

本来の使用用途や性質を変化させたもの

(例)着物をリメイクした小物、帆布をリメイクしたバッグ など

消費して無くなるもの

(例)化粧品、薬品、サプリメント、お酒、食品 など

アクセサリーではない貴金属

(例)投機目的のインゴット・金貨・金塊・プラチナ など

原材料になるもの

(例)空き缶類、金属原材料、被覆いのない古銅線類 など

再利用せずに捨てるもの

(例)廃品、一般ごみ など

実体がない物

(例)電子チケット など

中古であっても「古物」に該当しないものを取り扱う場合には、古物商許可は不要です。

「古物営業」に該当する取引とは

扱う商品が古物に該当する場合には、取引方法が「古物営業」に該当するかどうかを確認しましょう。

「古物営業」は、古物営業法 第2条2項1で次のように定義されています。

古物を売買し、若しくは交換し、又は委託を受けて売買し、若しくは交換する営業であつて、古物を売却すること又は自己が売却した物品を当該売却の相手方から買い受けることのみを行うもの以外のもの

古物営業法 第2条2項の1より

つまり、古物を「売買・交換」または「委託を受けて売買・交換」する「営業」のことです。

実際古物を扱うのであれば、ほとんどの場合は古物営業に該当します。中古せどりはもちろん、委託販売や修理販売や部品の販売、レンタルなどの営業も古物営業にあたります。

古物営業にあたらないのは次のようなケースです

・自分が使用した物(不用品)の販売する
・店舗で新品を購入して転売する
・無償で手に入れたものを販売する
・海外で仕入れた古物を販売する

不用品販売では中古品を売りますが、通常であれば営業(反復して利益を得ることを目的とした行為)ではないので古物営業には当たりません。

せどりでも、店舗で新品を仕入れて転売するのであればその商品は古物にあたりませんが、リサイクルショップやメルカリなどで仕入れたものを転売する場合は古物に該当します。古物の定義のところでも述べましたが、メルカリなどで仕入れた「新品未使用品」は新品でも古物にあたるので注意しましょう。

無償で手に入れたものについては、窃盗犯が盗品を無償で譲渡する可能性は低いため古物商許可は必要ないと考えられています。

海外で仕入れた古物の販売が古物営業に該当しないのは、古物商許可が日本国内の取引を対象としているためです。

まとめ

どんな場合に古物商許可が必要なのかを判断する基準について解説してきました。

古物商許可が必要なのは次の2つの両方に該当する場合です

・取り扱う商品が「古物」に該当する
・取引方法が「古物営業」に該当する

中古品でも古物に該当しないものがあり、新品でも古物に該当するケースがあります。

古物を扱う場合には副業であっても基本的に営業行為にあたるため、古物営業に該当することがほとんどです。

古物商許可を取得しないで古物営業をした場合、3年以下の懲役または100万円以下の罰金を課せられる恐れがあります。

違法な営業にならないよう事前に確認することをお勧めします。

自分では判断がつかない場合は、古物商許可を取り扱う行政書士に相談するか、住所を管轄する警察署の生活安全課に問い合わせてみましょう。

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